黒い点のあるシロチョウ・・・。何ともわかりやすいネーミングです。デザインは和名の通り、単純で面白みに欠けます。ただ、とんでもなく高速で飛び回る熱帯アジアのシロチョウが支配的な中で、ヒメシロチョウにも似た本種の弱々しい飛び方は異質なものです。灼熱の太陽が照り付ける現地で、この蝶を見ると何故か心が和む気持ちがします。種小名の「二ナ」も何となく薄倖の少女を連想させます。

タイのバンコックで有名なお寺巡りをしていた時のことです。小高い丘を利用したワットサケット（黄金の山寺院）の頂上からは、チャオプラヤー川に開けたバンコック市内を一望できます。線香の臭いが漂う頂上から降りて、境内にある林で一休みしていると、木陰の下草内を本種が弱々しく飛んでいました。歩き疲れた管理人の心を掴んだことは言うまでもありません。元気を貰って、足取りも軽く次の目的地に向かうことができました。

さて、ダナムバレーに到着した午後は少し日が翳り、蝶影が薄く期待はずれでしたが、唯一ダナム川の砂地で吸水している本種を撮影できて、ホッと一息ついた思い出のショットです。