裏面が茶色になるフタオチョウ（Charaxes属）の中で最も分布の広いのが本種で、アッサム、インドシナ、スンダランドを経て、中国南部から香港まで拡がっています。CharaxesおよびPolyura両属は、動物系トラップがことの他、お気に入りですので、今回の遠征では、カニトラップを多めに持参して数箇所のポイントに仕掛け、彼らを誘き寄せることにしました。

　見晴らしの良い、切り株上にカニとパイナップルの2種類を「お供え？」して万全を期して待っていると、待望久しい茶色の塊が吹っ飛んできました。暫しトラップの回りを周回飛行した後、カニトラップに舞い降りました。トラップには無数のハエも集っており、チャイロフタオの翅に止まっている様子は、まるでコバンザメのようで笑ってしまいます。ご覧のように、♂は「フタオ」とは名ばかりで、ささやかな一本の尾を有するだけです。♀も♂よりは長いものの、明確な尾は一本のみですが、珍品のようで、出会うことはできませんでした。

切り株に来たチャイロフタオと隣村遠征に付き合ってくれたガイドとのツーショットです。ガイドが首から下げているのは、手ぶれ防止機能付きズームレンズを装着した愛機D70Sです。吸汁中のフタオは吸汁に夢中なので、このような広角接写も比較的容易でした。