香港で初めてチビフタオ（P.athamas）に出会った時、腐ったバナナから飛び去るスピードに目を見張ったものでした。それ以来、アジアの蝶関連サイトをブラウズしてみると、更に大型で裏面が純白な一群に惹きつけられました。その１種が本種です。チビフタオより二回りもでかい体躯、どんなスピードで飛ぶのだろう？遠征前から憧れのタテハだったわけです。観察したタイ（インドシナ地域）を始め、チベット〜中国に分布を有しています。

　さて、フタオ類を仕留めるにはトラップが有用との事前情報を得ていたので、現地調達したカニとパイナップル両トラップを川岸の切り株上に仕掛けて、別のポイント探索にでかけました。戻ってみると、切り株はそのまま・・・。がっかりして川岸に降りると、同行したガイドが手招きしています。見ると、来てます！！慌ててレンズフードを装着し、夢中でシャッターを切り続けました。少し落ち着いてから露出設定やISO感度を微修正して撮り直し、十分な時間を取って構図にも気を使う余裕を与えてくれました。しかし、油断は禁物です。もう少し接近可能かと思って、90ｍｍマクロに切り替え、そのワーキングディスタンスに近づいた途端、ものすごいスピードで逃げ去りました。オオムラサキの２倍の速度と言ったら、ご理解頂けるでしょうか？文字通り、白い弾丸となって、谷あいに消えて行きました。