ボルネオの蝶で紹介しているキオビビロウドセセリと同属のセセリチョウです。この仲間の飛行は敏速で、ちょっと目線を切ると、もう行方を追うのが困難になります。撮影したのはちょうどお昼時。林道から飛び出した本種がビューンと飛んで葉裏に隠れたところをパチリとしたもの。不活発な活動時間帯だったので、比較的楽に撮影できたほうだと思います。それでも飛び出した蝶の行方を追う私の姿は、周囲から見れば滑稽だったのでしょう。同行した保護林のガイドが腹を抱えて笑い出しました。ガイドと言えども蝶には詳しくなく、本種の姿を認識できませんから、まるで私がジャングルの脇でパントマイムでも踊っているように見えたのかもしれません。
　地色は褐色で、後翅裏面に淡く細い条線が走るデザインです。似た配色のHasora属が結構いるので、これまた同定に苦労します。条線より内縁部がブルーに光り、これが同定上のヒントになります。分布は和名が示す通り、北は台湾から南はバリ島まで東南アジア全域に拡がっています。